鴨せいろの元祖、銀座長寿庵の三代目、天野徳雄さんにうかがいました。

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長寿庵という屋号は…

「長寿庵」というお蕎麦屋さん、よく見かけませんか?
関東では一番多いお蕎麦屋さんの屋号で、
最盛期は350軒ほどあったそう。現在は200軒。
暖簾分けのシステムで、大きく4つに分かれています。

銀座長寿庵は、初代が愛知県のご出身。
東京でお蕎麦屋さんを開いたところ、
初代を頼って愛知出身の方が上京、
次々に暖簾分けしていきました。

鴨せいろが生まれたのは…

いまでは全国で知られる「鴨せいろ」。

鴨南蛮は鴨入りの暖かいそばですが、
鴨せいろは、そばは冷たく、
つゆは鴨肉の入った暖かいもののことです。

昭和30年代後半、2代目が若い頃、
まかないでもりそばを食べようとしていたところ、
手を滑らせてつゆをこぼしてしまった。
ふと見てみると、近くに娘さんがそばを食べ終えた鴨南蛮のつゆがあった。
それで、冷たいそばを鴨南蛮につけてみたところ、おいしかった。
これが、銀座長寿庵での鴨せいろ誕生のきっかけです。

しかし、当時は冷たいそばを
あたたかいつゆにつける発想がなかった。
あたたかいそばは汁が薄め、
ところが冷たいそばをつけると味が薄く感じる。

そこで、冷たいそばとあたたかいつゆのバランスを
試行錯誤して完成に至りました。

最初はなかなか定着しなかったんだそう。
それが今では、お客さんの7〜8割が注文する
看板メニューになりました。

鴨せいろのこだわり

あたたかいそばのつゆは、
そばにつゆが染み込むので味は薄め。
一方、つめたいそばのつゆは濃いめ。

鴨せいろは、その中間の濃さ。
濃度計できちんと濃度をはかっています。

鴨は国産の鴨肉にこだわっています。
埼玉で飼育されている鴨。
胸肉ともも肉を両方使っています。
脂のバランスもいいんです。
火を入れすぎると固くなってしまうので、
火加減が命なんです。

新しい人気メニューは、鴨カレーせいろ。
こちらもぜひ、食べてみてください。

銀座長寿庵
住所:中央区銀座1-21-15  
TEL :03-3561-2647
※ホームページからお取り寄せもできます。


今週の熊八レシピは「鴨」

鴨を焼くのは難しい

  1. 鴨肉(胸肉)の皮の肉よりはみ出している部分は切ります。皮の表面に5mmから1cm間隔で網目模様に包丁を入れておきます。オリーブオイル、ニンニク少々でフライパンで焼いていきます。
  2. ポイントは、皮面から焼き、皮と肉の間の脂をしっかりと焼くこと。
  3. 皮面から7割火を入れる感じで焼き、肉の表面が白っぽくなってきたらひっくり返します。
  4. ソースはおろしポン酢でどうぞ。

合鴨の鴨南蛮

  1. 欠かせないのはネギ。鴨はあまりたくさん脂がついているようなら少し削ぎ、薄切りにします。
  2. お好みで軽く塩をして、片栗粉を入れ、お湯に入れます。2、30秒で火がはいります。ネギの硬さはお好みでどうぞ。
  3. 醤油味の濃い目のつゆを作り、片栗粉でとろみをつけていただきます。
  4. 鴨が手に入らない場合は鶏肉、豚肉でもOKです。

鴨のオレンジソース

  • 「鴨のオレンジソース」は、鴨に塩コショウをして、フォンドボーで煮て、仕上げにオレンジジュースやオレンジキュラソーで香りをつけたフランス料理のメニュー。
  • 家で作るなら、鶏肉に塩コショウして、小麦粉つけて焼き、フライパンを拭き取って白ワイン、オレンジ果汁、バターを入れて、塩コショウして仕上げます。